電気主任技術者コラム

電気主任技術者はやめとけ?失敗しない独立方法とは!
独立のメリット・デメリットをご紹介

投稿日:2024年6月26日 | 更新日:2024年7月4日

主に高圧受変電設備の保安点検や日々電気の安全管理に従事している電気主任技術者。昨今増えているのがビル管理会社(ビル管)やビルメンテナンス請負会社(ビルメン)、その他電気工事店や電気保安法人などで仕事をしながら電験三種などの資格を取得し、勤務を通じて実務経験を積み、個人事業主として独立する方です。
本記事では電験の資格を活かして独立するメリットをはじめ、独立をめざす方に向けたデメリットや注意点について紹介します。

①電気主任技術者の独立に必要な条件

電気主任技術者が個人事業主として独立する(電気管理技術者になる)場合、以下の3つの条件を満たす必要があります。

1. 電験(電気主任技術者試験)に合格し、免状の交付を受けていること(第1種~第3種)
2. 電気主任技術者として所定の実務経験があること、または実務経験補完のための保安管理業務講習を受講していること
3. 電気事業法で定められた点検器具を所有していること

1の条件を満たしていない方はまずは資格を取得することから始める必要があります。2についてはこの後「③電気主任技術者に必要な実務経験と実務の積み方」で、3については「④独立開業する際のデメリットや注意点」で解説します。

②電気主任技術者が独立するメリット

なぜ電気主任技術者として会社勤めをするのでなく、独立する方が増えているのでしょうか。そこには以下のようなメリットがあります。

1. 会社・時間に縛られない働き方を実現
2. 自分のキャパシティに応じて担当物件数を調整可能
3. 自分が望む年齢まで働ける(定年がない)

1については「自分のペースで働ける個人事業主」という点が大きな魅力でしょう。電気管理技術者には、会社員のような定時の通勤やタイムカードがなく、勤務時間を管理されることはありません。
なお、電気管理技術者は電気設備の規模などを換算した値の合計値として、33点未満を上限に保安点検の受託が可能と法律で決められています。つまり上限値を超えない範囲で業務量や割り当て時間を自分の裁量でやりくりできるのです。これは上記2の「自分のキャパシティに応じて担当数を調整可能」につながります。会社勤めであれば、決まった事業場の電気保安点検を任されるケースが大半ですが、個人事業主であれば、管理したい施設の選択権は電気管理技術者自身にあります。
電気管理技術者は担当する事業場へ2時間以内で到着できる場所に居住している必要があり、職住近接で働くことができます。もちろんお客さまが希望する時間に点検などの業務を終わらせる必要はありますが、業務が無事に終わればその後の時間は自由に使うことができます。
個人事業主として働く場合は、「定年がないこと」も魅力です。取得した電験の資格を生かし、希望する限り生涯現役で働けます。そして年金の支給年齢に到達すれば年金を受給しながら無理のない範囲で仕事を行うことも可能です。

日本テクノ協力会・日電協なら

日本テクノ協力会・日電協は日本テクノが業務提携している電気管理技術者団体です。所属会員には自由な働き方を活かして趣味や余暇を楽しんでいる方が少なくありません。70代、80代の会員も多く在籍しています。「これからも体が動く限り今の仕事を続けたい」と自身の専門知識を活かし、社会に貢献できるよろこびを感じながら日々電気の安全を守っている会員が多くいます。

③電気主任技術者に必要な実務経験と実務の積み方

免状ごとに必要な実務経験および保安管理業務講習は以下の通りです。

資格種別ごとの外部受託可能になる年数

※この表は横スクロールしてご覧いただけます

第3種(通常5年)
実務経験年数 残5年 残4年 残3年 残2年 残1年
講習受講なし 必要実務経験期間 条件付設備(PF-S)であれば受託可能※
講習受講あり 保安管理業務講習 必要実務経験期間 条件付設備(PF-S)のみ受託可能
第2種(通常4年)
講習受講なし 必要実務経験期間 条件付設備(PF-S)のみ受託可能
講習受講あり 保安管理業務講習 必要実務経験期間 条件付設備(PF-S)のみ受託可能
第1種(通常3年)
講習受講なし 必要実務経験期間 条件付設備(PF-S)のみ受託可能

※設備容量が300kVA以下、キュービクル式、PF-S型の3条件を満たす簡易受電設備。(以下、※1 限定承認 と記載)

表の見方・電験3種の場合
通常は5年の実務経験を積み、証明書類を提出することで電気管理技術者として独立することができます。また、実務経験を4年以上積んだ電気主任技術者は、※1 限定承認であれば、外部選任の委託を受けることができます。
そして「保安管理業務講習」を受講することで必要な実務経験は5年から3年に減らすことができます。さらに今後運用を予定されている「拡充版保安管理業務講習」を受講すれば、必要な実務経験は2年に減らせます。詳細は経済産業省の資料「拡充版保安管理業務講習について」をご確認ください。
ちなみに第2種、第1種も実務経験の期間が異なるだけで基本は同じです。
なお、実務経験期間については電気主任技術者として働いていたことを証明する書類を経済産業省産業保安監督部(以下、産業保安監督部と記載)に提出する必要があります。

電気主任技術者に必要な実務経験と実務の積み方についてさらに詳しく知りたい方はぜひ日本テクノが実施している「実務の積み方オンライン説明会」にご参加ください。

実務の積み方オンライン説明会

日本テクノでは電気主任技術者向けに『実務の積み方オンライン説明会』を定期的に開催しています。参加費は無料です。電気主任技術者第3種以上の免状をお持ちの方で実務経験「なし」または「不足・不明」の方は、ぜひ説明会にご参加ください。自身の就労状況をもとにご相談も可能です。

こんな方におすすめ:
・電気管理技術者として働くために実務経験を積みたいが、その方法がわからない
・どういった業務が実務経験として当てはまるのか知りたい
・実務経験が積める職種を探しているが、選択肢の幅を広げたい
・過去に少し経験があるが、不足分を補いたい


④独立開業する際のデメリットや注意点

電気管理技術者として独立・開業することは確かにメリットが多いのですが、独立に際してはさまざまな点を注意しておく必要があります。ここでは、独立する際のデメリットおよび注意点を詳しく解説します。

1. 自ら顧客を開拓しなければならない(高い営業力が必要)
2. 電気主任技術者のパートナー・人脈が重要
3. 煩雑な事務作業を自ら行う必要がある
4. 請求や集金など自ら売上を立てるといった経理業務が発生
5. 高価な点検器具を揃えなければならない


1. 自ら顧客を開拓しなければならない(高い営業力が必要)

会社勤めから独立して電気管理技術者となる場合、最大の難関は「顧客開拓」といえます。 たとえばビルメンテナンス会社に所属して電気保安を担当していた方が独立するケースを考えてみましょう。その人は独立する前からある程度顧客の目星をつけておく、独立後に自分の技術力の高さを売り込み、現在選任されている技術者から自分に選任を切り替えていただき顧客を獲得する、あるいは電気主任技術者が一時的に選任されていない、または選任された電気主任技術者が間もなく辞めるような事業場を探し出す必要があります。独立には技術的な知識・経験以外にも高い営業能力やマーケティング能力が重要になるのです。


2. 電気主任技術者のパートナー・人脈が重要

停電を伴う年次点検などでは通常、複数人の技術者で点検を実施します。そのためには良好な関係にある他の技術者をパートナーとして探しておく必要があります。これも独立したばかりの電気管理技術者には少々ハードルが高いといえます。
電気主任技術者で将来独立したいと考えている方は日頃から人脈を広げ、知り合いを増やしておくことをおすすめします。


日本テクノ協力会・日電協なら顧客開拓や人脈作りが不要!

日本テクノ協力会・日電協なら、全国約70,000件の日本テクノの顧客に電気保安点検サービスを提供しているので、会員は顧客開拓を行う必要がありません。さらに顧客の受電設備には漏電・温度・瞬時停電などの監視を24時間行う装置ES SYSTEMが設置されています。バックアップ体制が整った環境で点検実務に集中できるため、独立して業務を行う電気管理技術者の大きなメリットといえます。
また、会員には定期的なセミナー開催にくわえ懇親会やゴルフコンペを実施するなど、会員同士のコミュニケーション促進を図っており、作業応援などを依頼しやすい環境が整っております。

3. 煩雑な事務作業を自ら行う必要がある

電気管理技術者が新たな顧客から電気保安業務委託を受ける場合、「保安管理業務外部委託承認申請書」をはじめ、「設備条件確認書」や当該事業所の「保安規程変更届出書」など、多数の書類を作成し、産業保安監督部に届け出る必要があります。会社勤め時代は自事業場の電気の安全だけ見ていればよかったかもしれませんが、独立するとなると複数事業場の安全管理に対し義務が生じます。特に申請書などは不備があると申請自体が認められず、お客さまに迷惑をかけてしまいます。
こうした書類を遅滞なく作成できる事務能力も必要不可欠といえるでしょう。

4. 請求や集金など売上を立てるといった経理業務が発生

独立した際は申請に伴う事務処理だけでなく、点検費の請求作業や集金業務など経理関係業務も必要になります。
万が一、顧客からの支払い遅延が発生した場合には、督促業務などが発生することも想定しておく必要があります。

日本テクノ協力会・日電協なら各種申請・請求業務をバックアップ!

日本テクノ協力会・日電協では産業保安監督部への提出資料の作成や申請などに関してバックアップ体制を敷いており、会員は事務作業を大幅に軽減できます。
また、保安点検費の回収についても代理回収の仕組みがあるため、売掛金の回収や入金確認といった煩わしい作業がなく、点検業務に集中できる環境が整っています。

4. 高価な点検器具を揃えなければならない

電気事業法では電気管理技術者に対し、所定の点検器具を揃えるよう定めています。これらの器具は事業場に備えている場合もありますが、ほとんどのケースで事前に用意する必要があります。しかし点検器具は高価なものが多く、たとえば絶縁耐力試験装置など50万円以上するものもあります。独立する場合はこれらの初期投資も見込んでおく必要があります。

日本テクノ協力会・日電協なら高価な測定器を無償貸し出し!

日本テクノ協力会・日電協では希望される会員に無償で測定器を貸し出しております。告示機材(高低圧検電器、接地抵抗計、低圧絶縁抵抗計、電流計、電圧計)はご自身で用意いただく必要がありますが、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置などの高価な機材については、貸し出せる環境を整えておりますので、何かと物入りな独立時の初期投資費用を抑えることができます。

日本テクノ協力会・日電協の業務説明会のご案内

電気主任技術者の求人をお探しの方は、日本テクノ協力会・日電協へ登録してみませんか? 協力会は、技術者が働きやすい組織をめざし、30代から60代を中心に1400名以上の技術者が活躍しています。
全国各地で業務説明会や現場体験会を定期的に開催しているほか、オンラインでの説明会も実施しています。こちらはすべて無料で参加いただけます。ご不明点がある方はよくある質問もご覧ください。
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※掲載内容は2024年6月現在の情報に基づいて作成しています。