電気主任技術者コラム

電気主任技術者はやめとけ?失敗しない独立方法とは!
独立のメリット・デメリットをご紹介

投稿日:2024年6月26日 | 更新日:2025年5月27日

主に高圧受変電設備の保安点検や日々電気の安全管理に従事している電気主任技術者。昨今増えているのがビル管理会社(ビル管)やビルメンテナンス請負会社(ビルメン)、その他電気工事店や電気保安法人などで仕事をしながら電験三種などの資格を取得し、勤務を通じて実務経験を積み、個人事業主として独立する方です。
本記事では電験の資格を活かして独立するメリットをはじめ、独立をめざす方に向けたデメリットや注意点について紹介します。

①電気主任技術者の独立に必要な条件

電気主任技術者が個人事業主として独立する(電気管理技術者になる)場合、以下の3つの条件を満たす必要があります。

1. 電験(電気主任技術者試験)に合格し、免状の交付を受けていること(第1種~第3種)
2. 電気主任技術者として所定の実務経験があること、または実務経験補完のための保安管理業務講習を受講していること
3. 電気事業法で定められた点検器具を所有していること

1の条件を満たしていない方はまずは資格を取得することから始める必要があります。2についてはこの後「③電気主任技術者に必要な実務経験と実務の積み方」で、3については「④独立開業する際のデメリットや注意点」で解説します。

②電気主任技術者が独立するメリット

なぜ電気主任技術者として会社勤めをするのでなく、独立する方が増えているのでしょうか。そこには以下のようなメリットがあります。

1. 会社・時間に縛られない働き方を実現
2. 自分のキャパシティに応じて担当物件数を調整可能
3. 自分が望む年齢まで働ける(定年がない)

1については「自分のペースで働ける個人事業主」という点が大きな魅力でしょう。電気管理技術者には、会社員のような定時の通勤やタイムカードがなく、勤務時間を管理されることはありません。
なお、電気管理技術者は電気設備の規模などを換算した値の合計値として、33点未満を上限に保安点検の受託が可能と法律で決められています。つまり上限値を超えない範囲で業務量や割り当て時間を自分の裁量でやりくりできるのです。これは上記2の「自分のキャパシティに応じて担当数を調整可能」につながります。会社勤めであれば、決まった事業場の電気保安点検を任されるケースが大半ですが、個人事業主であれば、管理したい施設の選択権は電気管理技術者自身にあります。
電気管理技術者は担当する事業場へ2時間以内で到着できる場所に居住している必要があり、職住近接で働くことができます。もちろんお客さまが希望する時間に点検などの業務を終わらせる必要はありますが、業務が無事に終わればその後の時間は自由に使うことができます。
個人事業主として働く場合は、「定年がないこと」も魅力です。取得した電験の資格を生かし、希望する限り生涯現役で働けます。そして年金の支給年齢に到達すれば年金を受給しながら無理のない範囲で仕事を行うことも可能です。

日本テクノ協力会・日電協なら充実して働けます!

日本テクノ協力会・日電協は日本テクノが業務提携している電気管理技術者団体です。所属会員には自由な働き方を活かして趣味や余暇を楽しんでいる方が少なくありません。70代、80代の会員も多く在籍しています。「これからも体が動く限り今の仕事を続けたい」と自身の専門知識を活かし、社会に貢献できるよろこびを感じながら日々電気の安全を守っている会員が多くいます。

③電気主任技術者に必要な実務経験と実務の積み方

用語解説

限定承認について

受託できる設備に制限がある承認制度。以下の条件をすべて満たした設備であれば、規定年数より1年不足していても点検の受託が可能です。
1. 設備容量が300kVA以下
2. 受電設備がキュービクル式
3. 主遮断装置が高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせて用いる形式(PF-S型)

保安管理業務講習について

電気主任技術者の需給ギャップが拡大するなかで、人材育成・確保のために必要な実務経験年数の緩和を図るべく設定された講習(制度)です。実務経験を補完できるよう保安管理の知識と実践的な技術を身に付けることを目的とします。 電験2種~3種免状をお持ちの方が受講可能です(1種免状をお持ちの方は受講対象外)。

【費用】:約9~12万円 【日数】:5日間

※日本テクノでは2024年より保安管理業務講習を実施しています。詳しくはこちら>

保安管理業務訓練について

保安管理業務講習にくわえて、講習だけでは学ぶことができない模擬設備での技能訓練や過去の事故事例など、より実践的な技術や応用知識を身に付けることを目的としています。 電験1種免状をお持ちの方、保安管理業務講習を受講済みの電験2種~3種免状をお持ちの方が受講可能です。

【費用】:約40万円 【日数】:10~11日間

実務経験年数早見表

限定承認

保安管理業務講習

保安管理業務訓練

※この表は横スクロールしてご覧いただけます

電験3種の場合の必要実務経験数 通常5年、限定承認のみの場合4年、保安管理業務講習のみの場合3年、保安管理業務講習と限定承認の場合2年、保安管理業務講習と保安管理業務訓練の場合2年、保安管理業務講習と保安管理業務訓練と限定承認の場合1年

※この表は横スクロールしてご覧いただけます

電験2種の場合の必要実務経験数 通常4年、限定承認のみの場合3年、保安管理業務講習のみの場合3年、保安管理業務講習と限定承認の場合2年、保安管理業務講習と保安管理業務訓練の場合2年、保安管理業務講習と保安管理業務訓練と限定承認の場合1年

※この表は横スクロールしてご覧いただけます

電験1種の場合の必要実務経験数 通常3年、限定承認のみの場合2年、保安管理業務訓練のみの場合2年、保安管理業務訓練と限定承認の場合1年

実務経験別!業務委託までの一例

Aさん(電験3種)の場合

私は3年の実務経験があったので、保安管理業務講習を受講して外部委託の保安管理業務に従事することができました。

Bさん(電験3種)の場合

私は2年8ヵ月の実務経験しかなかったため、保安管理業務講習を受け、限定承認で外部選任の保安管理業務に従事しました。その後、不足していた4ヵ月の実務を証明することで限定が解除され、今では制限なしで従事しています。

Cさん(電験3種)の場合

私は1年の実務経験しかなかったため、保安管理業務講習を受講し、さらに保安管理業務訓練に申し込んでいます。訓練を受講し、限定承認の条件を満たした設備で外部委託の保安管理業務に従事します。

実務の積み方オンライン説明会

日本テクノでは電気主任技術者向けに『実務の積み方オンライン説明会』を定期的に開催しています。参加費は無料です。電気主任技術者第3種以上の免状をお持ちの方で実務経験「なし」または「不足・不明」の方は、ぜひ説明会にご参加ください。自身の就労状況をもとにご相談も可能です。

こんな方におすすめ:
・電気管理技術者として働くために実務経験を積みたいが、その方法がわからない
・どういった業務が実務経験として当てはまるのか知りたい
・実務経験が積める職種を探しているが、選択肢の幅を広げたい
・過去に少し経験があるが、不足分を補いたい


④独立開業する際のデメリットや注意点

電気管理技術者として独立・開業することは確かにメリットが多いのですが、独立に際してはさまざまな点を注意しておく必要があります。ここでは、独立する際のデメリットおよび注意点を詳しく解説します。

1. 自ら顧客を開拓しなければならない(高い営業力が必要)
2. 電気主任技術者のパートナー・人脈が重要
3. 煩雑な事務作業を自ら行う必要がある
4. 請求や集金など自ら売上を立てるといった経理業務が発生
5. 高価な点検器具を揃えなければならない


1. 自ら顧客を開拓しなければならない(高い営業力が必要)

会社勤めから独立して電気管理技術者となる場合、最大の難関は「顧客開拓」といえます。 たとえばビルメンテナンス会社に所属して電気保安を担当していた方が独立するケースを考えてみましょう。その人は独立する前からある程度顧客の目星をつけておく、独立後に自分の技術力の高さを売り込み、現在選任されている技術者から自分に選任を切り替えていただき顧客を獲得する、あるいは電気主任技術者が一時的に選任されていない、または選任された電気主任技術者が間もなく辞めるような事業場を探し出す必要があります。独立には技術的な知識・経験以外にも高い営業能力やマーケティング能力が重要になるのです。


2. 電気主任技術者のパートナー・人脈が重要

停電を伴う年次点検などでは通常、複数人の技術者で点検を実施します。そのためには良好な関係にある他の技術者をパートナーとして探しておく必要があります。これも独立したばかりの電気管理技術者には少々ハードルが高いといえます。
電気主任技術者で将来独立したいと考えている方は日頃から人脈を広げ、知り合いを増やしておくことをおすすめします。


日本テクノ協力会・日電協なら顧客開拓や人脈作りが不要!

日本テクノ協力会・日電協なら、全国約70,000件の日本テクノの顧客に電気保安点検サービスを提供しているので、会員は顧客開拓を行う必要がありません。さらに顧客の受電設備には漏電・温度・瞬時停電などの監視を24時間行う装置ES SYSTEMが設置されています。バックアップ体制が整った環境で点検実務に集中できるため、独立して業務を行う電気管理技術者の大きなメリットといえます。
また、会員には定期的なセミナー開催にくわえ懇親会やゴルフコンペを実施するなど、会員同士のコミュニケーション促進を図っており、作業応援などを依頼しやすい環境が整っております。

3. 煩雑な事務作業を自ら行う必要がある

電気管理技術者が新たな顧客から電気保安業務委託を受ける場合、「保安管理業務外部委託承認申請書」をはじめ、「設備条件確認書」や当該事業所の「保安規程変更届出書」など、多数の書類を作成し、産業保安監督部に届け出る必要があります。会社勤め時代は自事業場の電気の安全だけ見ていればよかったかもしれませんが、独立するとなると複数事業場の安全管理に対し義務が生じます。特に申請書などは不備があると申請自体が認められず、お客さまに迷惑をかけてしまいます。
こうした書類を遅滞なく作成できる事務能力も必要不可欠といえるでしょう。

4. 請求や集金など売上を立てるといった経理業務が発生

独立した際は申請に伴う事務処理だけでなく、点検費の請求作業や集金業務など経理関係業務も必要になります。
万が一、顧客からの支払い遅延が発生した場合には、督促業務などが発生することも想定しておく必要があります。

日本テクノ協力会・日電協なら各種申請・請求業務をバックアップ!

日本テクノ協力会・日電協では産業保安監督部への提出資料の作成や申請などに関してバックアップ体制を敷いており、会員は事務作業を大幅に軽減できます。
また、保安点検費の回収についても代理回収の仕組みがあるため、売掛金の回収や入金確認といった煩わしい作業がなく、点検業務に集中できる環境が整っています。

5. 高価な点検器具を揃えなければならない

電気事業法では電気管理技術者に対し、所定の点検器具を揃えるよう定めています。これらの器具は事業場に備えている場合もありますが、ほとんどのケースで事前に用意する必要があります。しかし点検器具は高価なものが多く、たとえば絶縁耐力試験装置など50万円以上するものもあります。独立する場合はこれらの初期投資も見込んでおく必要があります。

日本テクノ協力会・日電協なら高価な測定器を無償貸し出し!

日本テクノ協力会・日電協では希望される会員に無償で測定器を貸し出しております。告示機材(高低圧検電器、接地抵抗計、低圧絶縁抵抗計、電流計、電圧計)はご自身で用意いただく必要がありますが、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置などの高価な機材については、貸し出せる環境を整えておりますので、何かと物入りな独立時の初期投資費用を抑えることができます。

日本テクノ協力会・日電協の業務説明会のご案内

電気主任技術者の求人をお探しの方は、日本テクノ協力会・日電協へ登録してみませんか? 協力会は、技術者が働きやすい組織をめざし、30代から60代を中心に1500名以上の技術者が活躍しています。
全国各地で業務説明会や現場体験会を定期的に開催しているほか、オンラインでの説明会も実施しています。こちらはすべて無料で参加いただけます。ご不明点がある方はよくある質問もご覧ください。
皆さまのご応募をお待ちしております。

※掲載内容は2025年5月現在の情報に基づいて作成しています。